かわいければいいじゃない!
ぼくがニューハーフとして暮らすまで
普段ニューハーフたちはどんな風に暮らしているのだろうか?
ふとそんなことを思った。
ニューハーフだからといって特別視をするわけではない。普通に働き、遊び、食事をして、寝るの基本の生活は変わらない。
しかし、男だった体を脱ぎ捨てて女として生きる。周りの変化や、自分の心の変化は通常その性別で生まれその性別として生きる人とは少し違う。
あるニューハーフの一人サキさんはカミングアウトをするのに非常に勇気があったという。
今まで普通に男として過ごし自分を隠してきたのです。そこに急に「ぼく女として生きたい」と告げる。兄妹の理解は得られても親の理解は得にくい。
最初の関門です。
身近な人だからこそ伝えにくい、反応が怖いというのはある。
自分の本当の気持ちを伝えることができた開放感とは裏腹に後悔や罪悪感などを感じた。
言って良かったのか悪かったのか。その後の反応や生き方が大きく変わります。
カミングアウトをして落ち着いたころ、さらけ出したことで自分の性に正直になれます。
堂々とメイクをして女物の服を着る。
ウィッグを被り女装すると、なんだか嬉しくて気分が上がる。
初めはメイクも服装もぎこちなくて似合わないのだが、それでも女になった自分に嬉しく思う。
まずは家族にその姿を見せた。
隠していても家族はどことなく気付いていた部分がある。
ビックリするのはカミングアウトをすることによって断定されること。
女装をした姿を見て、「やっぱり女になりたかったんだな。」と受け入れる。…受け入れられない人もいるが。時代と共に寛容になってきた。
嬉しいはずの本には逆に新しい自分を見られて恥ずかしくて人前で女装するのをためらっていた。
そんなとき家族が助けてくれたという。
母はメイクの仕方やウィッグの手入れやセットをしてくれ、妹が服を見繕った。父は何も言わないが、その何も言わないのが反対はしていないという証拠だと家族が察した。
ぎこちなかった女装が、女性っぽくきれいに見えた。
それがサキさんに勇気と力を与え、本格的に女になることを決意する。
まずはホルモン注射を定期的に受けることにした。
どんなニューハーフもいきなり豊胸して性器を切ってというような手術に踏み出すことはしない。
お金もかかるし情報も欲しい。身体をいじるのはイロイロ準備が整ってからにする。
まずはホルモン注射で女性としての土台の体作りから始めた。
注射していくと本当に不思議なもので骨格は変わらないのに丸みを帯びてひげも薄くなる。性器もどんどん縮んでとうとう小指程度の大きさになった。
男の象徴である性器が目立たなくなるとそれがまた一歩女に近づいた気がして嬉しくなった。
ひげとムダ毛を永久脱毛で処理をしツルツル肌を手に入れると更に気持ちがよくなった。
夏には露出度の高い服装を着てみたいと夢を膨らませる。
ここまでで1年ちょっと。その後もホルモン注射は受け続けていて女っぽくなるにつれて、女らしい自分を見てほしくてたまらなくなる。
見てほしい願望が高まると今度はもっと女性として完璧なボディを手に入れたくなる。
そこで豊胸をすることに。昔と違って手を出しやすく、中に入れるパックもだいぶ進化している。
女になるためとはいえ体を切るということ中に異物を入れるということは不安もあるし緊張もする。
しかし、一番最初の男が女装した感丸出しの状態から少しずつ違和感のない女装になっていった、あの喜びを思い出すと胸のある自分の姿を見たい、揉んで実感したいという気持ちが強かった。
美容整形は高額なので病院によって値段はピンキリ。しかし大掛かりなことをするなら高くても信用の出来る病院と医者のところでやった方が絶対に後悔がない。高い病院が良いというわけではないが信用できる病院を探すことだ。
そこでケチってはいけない。
手術後の胸を見たとき、谷間のある喜びが今までで一番うれしく感じたと。
胸の形も違和感がないようにしずく型のシリコンパックを入れた。中に入れるパックはしずく型と丸型があり、丸型だとたまに見かけるボールが入ったような、膨らみの境が急すぎる違和感のある見た目になるが、しずく型は自然なカーブで違和感なく胸のふくらみを作ってくれる。
それからは、日常では目立たなくなった性器を抑えつけたショーツを履き1日中女装することが通常となった。
会社はそういったことも割と寛容で、男性姿の時よりも仕事をたのまれたり、同僚や先輩、上司などいろんな人からご飯などの誘いも増えたそうです。
初めは物珍しかったのが大半だったかもしれないが時を長いこと共に過ごしていくと人は慣れて受け入れてくれる。
サキさんは周りの環境に恵まれていた。
今はまだ女になる途中の段階で、会社や家族を含め身近な周りの人には女性として受け入れてもらっているが、戸籍上はまだ男、身分証明と自分の姿との違いの説明をするのに手間がかかったり、声までは完璧に変えることは出来ないのでたまに男になる。骨格をかえることもできない。手や足などどうしても男が出てしまう部分があるし、169㎝は女性としてはかなりの長身。トイレも混んでいる場所では行きにくく多目的用を利用するそう。
公共の場ではいまだにちょっと「?」と思われているのを感じるそうで、まだまだ苦労は絶えない。それでも外に遊びに行くのが楽しいようです。
これからの課題は男性器をどうするのかを考えて、どこまで追求していくのかを決めていくとのことです。
今は国内外の有名人がカミングアウトや苦楽話しなどをネット含めいろんなメディアに公開していることもあって参考に出来ることが多い。
今までやってきたことと変わらない生活だけど、自分に正直に生きるということは同じ日常でも心の在り方が全然違うので毎日生きている実感が持てるのが一番大きな変化だと思います。